一言法話:第四十七話
- 密寺 満願
- 2 日前
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今年は昨年と比べて特に秋の訪れを深く感じ、個人的に一番好きな季節なので、嬉しく思っています。毎日のように夕陽を眺め、「今日は一段と綺麗だな」「今日は雲にかくれんぼしているな」などと思いを巡らせているうちに、あっという間に師走を迎えました。
皆様ご存知の方も多いかと存じますが、「師走(しわす)」という言葉の語源は、普段は走ることのないお坊さんでさえ、年末の多忙さから東西に走り回る様子から来ているとされています。かつては、新年の準備やお盆の「棚経(たなぎょう)」のように、各家庭を回ってお参りやご挨拶に伺う習慣があったため、日中の短い冬の時期は、さぞ大変な忙しさだったと想像できます。 このように、現代でも私たちが日常的に使う言葉の中には、歴史的な背景から生まれたものが数多く残っています。
当山の総本山である御室(おむろ)仁和寺(にんなじ)を例にとりますと、「御室」という名は、もともと皇族の方々が住職を務めていたことから、庶民が皇室の方の住まいを敬って「御室」と呼んだことに由来しています。ちなみに「仁和寺」の「仁和」は、当時の元号が「仁和」であったことにちなんでいます。 昔は、言葉の発祥は都(京都)からだとされ、それは波紋状に次第に地方へと広がっていくと考えられていました。そのため、関西地方で使われる単語の方が新しく、関東地方で使われる単語の方が古いという説もあります。
また、長きにわたり朝廷が京都に置かれていたことから、宮中で使われていた「御所言葉(ごしょことば)」が生まれました。特に女官が使っていた言葉には、食べ物などに「お」や「さん」を付けて丁寧に呼ぶ習慣が色濃く残っています。
「おうどん」「おいも」や「お豆さん」などがあり、また信仰対象の「天神さん」「お大師さん」などは今も言われています。
近くて親しみを込めて「ちゃん」を付ける「アメちゃん」などもあります。
時代と共に言葉は変化し、新しく生まれる言葉もあれば、「死語」となる言葉もあります。来年には、一体どのような新しい言葉が生まれるのか、楽しみでもありますね。




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